DSP(高速演算処理装置)

DSPの構成要素 4

ソフトウェアから見た要素

DSPのソフトウェアについて、ソフトウェア作成の容易性・柔軟性やGUIにおける視覚デザインの容易性、全体を管理するOSの信頼性などが要求されます。

ソフトウェアの容易性・柔軟性 : MATLAB/Simulinkによるオブジェクト感覚で

A&DのDSPは、ディジタル信号処理に必要な機能ライブラリーが最も充実したMathWorks社の「MATLAB/Simulink」を採用し、その能力を最大限に発揮できるハードウェアとソフトウェア開発に特化しています。MATLAB(演算処理ライブラリー)とSimulink(ライブラリーを配置結線するソフト)の採用により、コンピュータの言語体系を意識しないオブジェクト指向(ブロック図感覚でソフトウェアを捕らえられる)でソフトウェア作成ができます。これにより、必要な部分のみブロック(ライブラリー)の追加変更をすることで目的の機能にカスタマイズできる柔軟な対応力を持ったソフトウェア体系になっています。

視覚デザインの容易性 : VirtualConsoleによる簡単操作

A&Dは、独自に開発したGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)ソフトウェア「VirtualConsole」を提供しています。このソフトウェアには、GUIの設計機能とSimulinkブロック図のパラメータ設定・変更・信号モニタ機能などがあり、見やすい操作・設定・監視画面が簡単に作成できます。VirtualConsoleの操作については、多数用意したライブラリーをドラック&ドロップ形式でコントロール画面に貼り付けるだけで実行できます。

OSの高信頼性 : リアルタイム処理に優れたRTOS採用

A&DのDSPは、リアルタイム処理を目的として開発された信頼性に最も優れたRTOSを採用しています。

注)  OS (Operating System) : キーボード入力や画面出力といった入出力機能、ディスクやメモリの管理など、多くのアプリケーションソフトから共通して利用される基本的な機能を提供し、コンピュータシステム全体を管理するソフトウェアで「基本ソフトウェア」とも呼ばれます。

注)  RTOS (Real-Time Operating System) : コンピュータ処理をリアルタイムに実行することを重視し、そのための機能を実装したOSのことです。計測や制御をするコンピュータシステムでは、応答時間が一定の範囲内にあることが要求されることが多く、OSにもリアルタイム性を実現するための様々な機構が必要とされます。そのため、リアルタイムOSには、必要な処理時間の予測を行なう機能や、複数の処理要求が同時に発生した場合でも目的の時間内に完了させるための機構を備えています。