DSP(高速演算処理装置)

ディジタル信号処理の特長

アナログ信号処理とディジタル信号処理の違い

一般的にアナログ回路に比較して、ディジタル回路では経年変化が少ない、調整が簡単、高精度、高信頼性などが挙げられます。

  アナログ信号処理 ディジタル信号処理
信号情報の形 電圧や電流といった絶対値を保証した連続する信号 “0”と“1”で表現する2つの信号レベル(電圧がある値より高いか低いかといった絶対値を必要としない表現)の信号
信号処理精度 0.5~5%程度 (回路部品、回路構成などによる) 0.001~0.1%程度 (ディジタル処理部分のみを考えるとCPUの演算誤差。計測・制御の全体から考えると入出力にA/DやD/Aで構成する為、一部にアナログ回路系が存在し精度の低下要因)
環境に対する影響 電圧や電流といった絶対値で信号を扱うため、回路部品の温度変化や経年変化などに影響を受けやすい “0”と“1”のレベル信号を扱う為、回路部品の温度変化や経年変化などがあっても信号レベル判定の許容幅が広く影響を受け難い
使われる部品 増幅器(アンプ)を主体としたアナログ回路部品(回路の一部にディジタル回路を組入れる場合もある) “0”か“1”のレベル信号を伝えるためのディジタル回路部品と処理手順を記述したプログラム(ソフトウェア)
回路設計・変更など 目的に合せて回路部品で構成する。変更に伴う回路の追加や構成変えを物理的な回路部品で組換えが必要 CPUとソフトウェア(プログラム)で構成する。変更に伴う回路の追加や構成変えもソフトウェアの部分変更で可能。
非線形・適応処理 回路が複雑になり、構成や精度保証が難しい CPUでプログラム表現できる処理は、基本的にどんな構成でも実現が可能。非線形処理や適応(アクティブ)処理なども実現できる
回路の調整 回路部品には一定の範囲で性能にバラつきがある為、設計値に合せる為の調整が必要。回路の規模によって使用する部品も多くなり、調整箇所が増える 回路調整の殆んどをソフトウェアで行なうことができ、定数などの変更も演算プログラムの数値を変えることで調整できるため、調整の処理ソフトを組み込むことで自動調整も可能になる
信頼性 低い (回路部品の種類や個数が多く、調整箇所が多い。温度や経年変化を受けやすいため、性能維持が難しい) 高い (ハードウェアとソフトウェアに分離して考えることができる。ハードウェアは、CPUやA/D・D/Aなどの構成ユニットを量産する製造手法により単体の信頼性が高い。ソフトウェアは、イレギュラー処理(想定できない現象に対応する処理)能力の完成度を除いて通常の信号処理プログラムが完成すると、それ以後に変化する要因が皆無であるため信頼性が高い。