睡眠中の血圧が高いと脳卒中の発症リスクが5倍以上高くなることがわかっています。

インタビュアー 夜間（睡眠）高血圧とは、どのような状態のことをいうのでしょうか？

苅尾先生 血圧は通常、日中の活動期よりも夜間の睡眠中の方が10～20％低くなります。ところが、睡眠中に低下しない場合や、逆に昼間よりも高くなる場合があります。日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」では、睡眠中の血圧の平均値が120/70 mmHg以上を夜間（睡眠）高血圧と定義しています。

インタビュアー そのような人は大勢いるのですか？

苅尾先生 朝の血圧値を135/85 mmHg未満にコントロールできている人のうち、およそ4人に1人が夜間（睡眠）高血圧に該当するという研究結果が報告されています（注1）。

インタビュアー どのようなリスクがあるのでしょうか？

苅尾先生 夜間に血圧が低下することで心臓や血管への負担が軽くなります。しかし、夜間（睡眠）高血圧の場合は心臓や血管が休む暇がないため、身体に大きな負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞、さらに心不全などの脳心血管疾患のリスクが高まります。

インタビュアー そのリスクに関する苅尾先生のご研究結果を教えてください。

苅尾先生 睡眠中の収縮期血圧の平均値が高いグループ（132.3 mmHg以上）は、正常なグループ（108.7～116.3 mmHg）と比較して、調査開始から約7年後で脳卒中の発生率に約5.4倍の差が生じることがわかっています（注2）。また、夜間血圧が昼間より上昇するタイプのライザー型夜間（睡眠）高血圧（注3）は心不全リスクが2.5倍高まります（注4）。

気軽に購入できて、睡眠の質を保ちつつ正確な測定ができる血圧計の開発が求められています。

インタビュアー 夜間（睡眠）高血圧は、どのようにすれば予防できるのでしょうか？

苅尾先生 まず、睡眠中の血圧を測ってご自分の血圧状態を知ることが第一歩です。
そのために、24時間連続で血圧測定できる血圧計（ABPM）があります。しかし、この血圧計は市販されておらず、医療機関が患者さんに貸し出している専門機器なので、一般の人が気軽に使用することができないのです。

インタビュアー 一般の人が購入できる血圧計がほしいですね。

苅尾先生 一般の人が量販店や通販などで気軽に購入可能で、睡眠の質を保ちつつ正確な測定ができる血圧計で、さらに就寝時間や夜中にトイレなどに行くために起きた時間など、夜間行動が記録できる血圧計が求められています。また、「高血圧治療ガイドライン2019」が推奨する上腕式血圧計であることが望ましいですね。

研究の最終目標は、循環器の疾患をゼロにすることです！

インタビュアー Ａ＆Ｄがご期待に沿える血圧計を開発いたします！

苅尾先生 循環器の疾患をゼロにしていくために、Ａ＆Ｄさんに期待しています。
高血圧の人には生活改善の指標をつくる必要があり、血圧測定はそのためのメジャーです。ご自分の健康状態を確認し、必要に応じて減塩や体重コントロールを行うことにより睡眠の質を向上させることが健康寿命の延伸につながります。

インタビュアー 本日は貴重なお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。

インタビュー動画

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