電気のまめ知識(電気の用語集)
電圧とは
電圧とは電気の圧力です。電気機器を動作させる時は機器にあった電圧で動作させなくてはいけません。異なる電圧で動作させると故障や火災など、事故の原因になります。電圧の大きさを表す単位はV(ボルト)です。また、電圧を慣習的にEやe、V、vで表すことがあります。乾電池は直流で1.5V、家庭のコンセントは交流で100Vです。
■測定例
豆電球にかかる電圧を測定しています。デジタルマルチメーターのプローブは豆電球のリード線の両端(並列)にあてます。
電流とは
電流とは電気の流れの勢いです。電気機器が動作している状態によって変わってきます。数字が大きいとたくさんの電気(電子)が流れるので、注意して測定しないと事故などの危険性があります。電流の大きさを表す単位は A(アンペア)です。また、電流を慣習的にIやiで表すことがあります。
■測定例
豆電球に流れる電流を測定しています。デジタルマルチメーターのプローブは2つの豆電球の間に(直列に)あてて測定します。
抵抗とは
抵抗とは電気の流れやすさです。この数字が大きいと電気が流れにくくなります。例えば、凸凹の多い道ほど走りにくいのに似ています。抵抗の大きさを表す単位はΩ(オーム)です。また、抵抗を慣習的にRやrで表すことがあります。
■測定例
豆電球の抵抗を測定しています。豆電球に電池など何も接続してない状態で、豆電球のリード線の両端にデジタルマルチメーターのプローブをあてて測定します。
※ご注意:この抵抗測定のレンジのまま電圧や電流を測るとデジタルマルチメーターが故障しますので、抵抗測定のあと、別の測定をする場合は測定レンジをよく確認してください。
BAT(電池)とは
デジタルマルチメーターで電池をチェックするためのレンジです。電池は実際に使っている時(電流が流れている時)と使っていない時(電流が流れていない時)では電圧が変わります。そこで、実際に電池を使っている時のように電流を流して、電池の電圧をはかります。このBAT以外の直流電圧のレンジ(DCV)では電池の電流を流さないようにして測っています。
■測定例
DMMのブローブを直接電池の端子にあてます。
直流と交流とは
電気は2通りの流れ方があります。一つは直流といい、いつも同じ方向へ流れ、大きさもほぼ一定です。「DC」や「」とも表します。乾電池の電気の流れ方はこの直流です。
もう一つは交流といい、時間とともに大きさや流れる方向が変わります。「AC」や「~」で表します。家庭用のコンセントの電気の流れ方は、こちらの交流です。
ダイオードとは
電気を一方向だけに流す性質を持った電子部品がダイオードです。デジタルマルチメーターでこのマークがついているものは電気を流す方向を調べる機能(ダイオードの極性:P/N)があります。
導通について
デジタルマルチメーターでは電線や電子部品が導通して(つながって)いるかどうかをチェックするためのレンジが「導通」で、のような記号で通常は表されています。ある一定よりも低い抵抗値になると、ブザー音などで導通していることを知らせます。この”一定値以下の抵抗値”はデジタルマルチメーターの機種によって異なります。
■測定例
豆電球の導通をチェックする例です。右側のイラストのように電球が切れていると、ブザーは鳴りません。
周波数について
交流は、時間と共に大きさや流れる方向が変わります。その一秒間当たりに変化する回数を周波数と言います。一般の家庭用の電気は東日本では1秒間に50回の周期で変化します。この1秒間当たりの周期の数が周波数で、単位は Hz(ヘルツ)で表します。周波数を慣習的にfで表すことがあります。
精度(確度)の読み方について
「rdg (読み値、表示値、指示値) 」これは現在測定中の表示値、すなわち測定器が現在、指示または表示している数値を表します。
「dgt (分解能) 」これはデジタル測定器の最小表示単位です。1dgtとはデジタル表示部の最小桁の「1」を表します。dgtを略して単にdと表すこともあります。
例えば、デジタルマルチメータ(DMM)の誤差限界として仕様に、200Vレンジにおいて精度(確度)が±(2%rdg±2d)のDMMで電圧を測定して、表示が100.0Vの場合、誤差は±(2V+0.2V)となります。
ヒューズについて
ヒューズは、ある一定以上の電流が流れると、電流によって発生する熱のため溶けて断線する電子部品です。通常、電流の流れ過ぎること(過電流)によって装置が壊れるのを防ぐために使われます。デジタルマルチメータ(DMM)にも機器の保護のため入っています。測定レンジを間違えたり(例えば電流測定レンジで電圧を測定)するとヒューズが切れて、測定できなくなります。
危険測定区域について
工業用電力ラインは電源電圧の数倍のインパルス状のノイズを含んでいます。このような電力ラインを測定する場合は重大な事故を生じる可能性があります。屋内の分電盤や安全装置より内側の屋内配線(CAT.Ⅲ)やコンセントに接続した先(CAT.Ⅱ)もしくはコンセントからトランスなどを経由した機器内の2次側電気回路(CAT.Ⅰ)においてデジタルマルチメーターを使うことができます。ただし、CAT.Ⅰ~CAT.Ⅲ区域でも安全上、250V以上の工業用電力ラインでは測定を行わないでください。また、安全装置の入ってないラインでの測定は行わないでください。 ※CAT.の区域は国際安全規格IEC61010や国内のJISC1010で定められる安全規格です。
CAT.Ⅰ コンセントから電源変圧器を経由した2次側の過電圧制御がされている回路
CAT.Ⅱ コンセントに接続する電源コード付き機器の1次側
CAT.Ⅲ 直接分電盤から電気を取り込む機器の1次側及び分岐部からコンセントまでの回路
CAT.Ⅳ 引き込み線で使用される電気計器及び1次過電流保護装置