バッテリ内部インピーダンス模擬装置

バッテリ内部インピーダンス模擬装置

バッテリ内部インピーダンス模擬装置は、車載BMSやバッテリマネジメントIC(BMIC)などのバッテリ劣化診断機能開発向けのHILS装置です。
 ※BMS:Battery Management System

本製品は、バッテリの劣化状態ともいえる交流インピーダンス特性を再現します。バッテリ劣化診断機能の開発や、検証時のリファレンス(基準)としてお使いいただけます。

実バッテリを使用しない開発検証のため、再検証時の充放電で劣化する恐れがなく、同じ特性のバッテリ状態を再現します。 また、爆発対策などの特殊な環境がない場合でも、バッテリ診断機能を安全に検証可能です。

特長

  • 交流重畳法に対応した バッテリセルエミュレータ
  • パラメータ設定で、バッテリ特性・劣化状態を模擬
  • 外部環境やバッテリ特性に依存することなく、同一条件での繰り返し試験が可能
  • 実バッテリが不要なので安全に評価試験が可能
 

交流重畳法でのバッテリ検証

電池評価における交流重畳法は、周波数を変化させながら交流電流を印加し、バッテリの交流インピーダンスの周波数特性を測定する手法です。従来の直流成分だけの劣化推定より精度がよく、 近年車載BMSの分野でも注目が集まっています。
本製品では、負荷として流れる交流変動による微小なセル電圧変動を、以下のように再現することができます。

交流重畳法を採用したバッテリインピーダンス計測装置(BMSやBMIC)に対して、本製品はバッテリ内部の交流インピーダンス(微小なセル電圧変動)を模擬することで、機能開発や検証作業を効率化します。

実バッテリを使用する検証の場合、
・充放電に時間がかかる
・試験のための充放電によってバッテリの特性が変化してしまい、リファレンス(基準)となる特性の維持が難しい
・重量があり、安全設備が必要
等のデメリットが考えられます。

これらに対し、本製品はある時点の実バッテリの特性を再現できるため、検証工程のリファレンスとして使用できます。
また、本製品に充放電作業や特別な設備は必要なく、安全に手軽に検証作業ができます。

模擬システム原理

本製品のインピーダンス模擬システムの原理を説明します。
本製品では、実バッテリの交流インピーダンス特性をモデル化するために、抵抗・コイル・コンデンサの組み合わせからなる等価回路モデルを設定しています。
この等価回路モデルのパラメータには、実バッテリを再現できるものを使用する必要があります。
本製品ではそのパラメータ決定のために、Cole-Cole Plotを採用しています。

バッテリに交流電流を印加した際のインピーダンスZ(電流の流れにくさ)はそれぞれ上記のように表現されます。
このうち、周波数ごとの抵抗のインピーダンスを実数成分R、コイルとコンデンサのインピーダンスを虚数成分Xとし、
それらの周波数変化による軌跡を複素平面上にプロットしたものがCole-Cole Plotです。
このCole-Cole Plotを再現できるような等価回路のパラメータを決定し、その値を本製品の等価回路モデルに設定することで実バッテリのモデル化を行っています。
また、劣化によるバッテリ特性の変化は、等価回路のパラメータの変化として模擬しています。

ご使用の流れ 一例

ご購入後の本製品の使用時の流れの一例を説明します。

  1. 実バッテリを使用した試験により、交流インピーダンス特性(Cole-Cole Plot)を取得します。この際試験するバッテリは、例えば、安全とする基準の状態のバッテリや、その基準より安全側・危険側のバッテリなどとします。
  2. 取得した交流インピーダンス特性のグラフを再現するような等価回路のパラメータを決定します。
  3. 決定したパラメータを本製品の等価回路モデルに設定することで、試験したバッテリの交流インピーダンス特性を再現します。
  4. パラメータを設定した本製品と、お客様のBMSやBMICを接続し、本製品で模擬されているバッテリが安全か危険かを判断できるか?などを検証できます。

製品仕様

インピーダンスレンジ
10 mΩ
周波数
DC~5 kHz
入力電流
±1 A
電流波形
Sine-wave, Square-wave
出力電圧
0~4.2 V
スタック数
1~8(TBD(未確定))
等価回路
R-CR-CR-LR model(※)

(※)等価回路モデルの変更も対応可能です。ご相談ください。

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