剛体振り子型物性試験器 RPT-3000W

剛体振り子型物性試験器 RPT-3000W

剛体振り子型物性試験器 RPT-3000Wは、物質の溶液から固体への硬化過程・乾燥過程での諸物性の経時変化の評価が可能な物性試験器です。

  • 振り子の自由減衰振動で、試料の物性や粘性情報を評価
  • エッジタイプと丸棒タイプの2種類の振り子を使い分け、支点部で振らせて測定
  • 実用基材上での測定が可能
  • 剛体振り子型物性試験技術が、国際標準規格ISO 12013-1、ISO 12013-2に採択されました。(2012年10月15日)
  • 規格の内容:剛体振り子による塗料と塗膜の物性測定方法
    ・ISO 12013-1:塗料、ワニスの硬化開始温度の測定方法
    ・ISO 12013-2:塗膜、ワニスの熱的性質(Tg、硬度)の測定方法

カタログ

RPT-3000Wのご紹介・特長

RPT-3000Wのご紹介動画

RPT-3000W 変位計・マグネットの位置調整方法

特長

あらゆる物質は、溶液状態から何らかの作用(熱・光・時間・その他)によって固体となり、種々の物性を出します。溶液から固体への相変化はさまざまな問題点を起こすため、それによって目的とする性能が出せなかったり、固体の使用過程において環境の因子を受けて劣化し、その性能が変わったりします。
そこで、物質の評価の中でも最も重要な評価項目は、物質の溶液から固体への硬化・乾燥過程の化学的・物理的性能の経時変化を追跡することです。これらの評価を目的として開発した装置が剛体振り子型物性試験器(RPT-3000W)です。

本装置は主として有機高分子材料の硬化・乾燥過程追跡とそれらのバルク物性、あるいは表面物性評価のほか、コンクリート等の無機材料や化粧品、紙、食品にも利用できます。すなわち、-100℃~+400℃の温度範囲で物性変化を持つ材料の物性評価に利用可能です。

RPT-3000Wは、広い分野にわたる材料の評価に活用できます

本装置は剛体振り子の自由減衰振動への各材料による影響から、材料の硬化性や材料の物性評価が容易であり、材料の開発・改良、品質管理、生産ライン設計、トラブル対策など、広範囲に活用できます。

塗料・接着剤

  • 硬化温度と硬化時間の評価
  • 硬化剤による硬化性、物性評価 など

食品

  • ゼラチンや寒天等のゲル化特性の評価
  • 食品等の官能的性能の定量的評価 など

プラスチック

  • 表面物性の評価
  • ハードコートの硬化、表面および内部の物性評価 など

電子・電気

  • 電池関連物性評価
  • 導電ペーストの硬化特性評価
  • ハンダの溶融・固化特性評価 など

化粧品・医薬品

  • マニキュア、マスカラの乾燥性と表面物性評価
  • パックやパップ剤の乾燥性と粘着性、弾性の評価
  • 毛髪などの潤滑性や洗浄性の評価 など

繊維

  • 繊維の物性評価 など

印刷

  • 被印刷物上でのインキ物性評価 など

その他

  • コンクリート、アスファルト等の物性評価

剛体振り子型物性試験器RPT-3000Wによる測定例

硬化挙動測定例

水系エマルション(エマルジョン)、塗料の硬化挙動測定例グラフ画像

物性測定例

ポリエステル被覆ナイロン繊維、ピアノ用塗膜の物性測定例グラフ画像

導入事例

群馬大学理工学部 井上研究室様にインタビュー

~ 電子デバイスの高性能化や多様化にともない、導電性接着剤に対する要求性能がますます高まっています~

特性を科学的に説明できない材料は、使ってもらえない。
RPT-3000Wは、基材上での接着剤の硬化挙動を調べることができる唯一の試験器といえます。

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井上雅博先生の発表論文

  • Tomohito NEGISHI, Masahiro INOUE
    “Formation of Filler Network Structure and Conduction Path Development in Electrically Conductive Adhesives Containing Silver Flakes”
    – MES2017/8 1E2-3
  • 松浪由香里、小田島大輔、井上雅博 NEW
    銅系導電性ペーストの電気伝導特性に及ぼすアミノエタノールおよびその誘導体のフィラー表面処理効果の分子構造依存性
    – スマートプロセス学会誌, Vol.12,No.5(2023)
  • 井上雅博
    導電性接着剤中のフィラー近傍の界面領域と導電性発現挙動の関係
    – 溶接学会誌, 89 (2), 129-134 (2020)
  • Subaru Tsujimura and Masahiro Inoue
    “Effect of Binder Chemistry on Dynamic Percolation in Electrically Conductive Carbon-Nanotube-Filled Pastes during Curing”
    – Materials Transactions, Vol. 63, No. 9 (2022) pp. 1281 to 1286
    ©2022 The Japan Institute of Metals and Materials
  • 井上雅博、根岸智仁(群馬大学理工学府)
    “誘導性接着剤における界面構造形成と電気伝導特性発達挙動の解析”
    – MES2018(第28回マイクロエレクトロニクスシンポジウム)2018年9月

技術資料・論文

塗料

剛体振子の自由減衰振動による塗膜形成の粘弾性測定
牛尼清治:剛体振子の自由減衰振動による塗膜形成の粘弾性測定
※本論文はオープンアクセスとなっていますが、版権は一般社団法人色材協会に帰属します
Seiji Ushiama:Measurement of Viscoelastic Properties of Coating Films During the Curing Process by a Free Damped Oscillation Method using a Rigid-Body Pendulum (English)

塗膜の硬化速度解析
森寛爾:塗膜の硬化速度解析-触媒添加したMEKOブロックイソシアネートでの律速過程
– 色材.,89[5] ,145-148(2016)
※本論文はオープンアクセスとなっていますが、版権は一般社団法人色材協会に帰属します。

塗膜の硬化過程における架橋密度の追跡手法
森寛爾:塗膜の硬化過程における架橋密度の追跡手法-貯蔵弾性率と架橋密度の比例性
– 色材.,86[4] ,123-127 (2013)
※本論文はオープンアクセスとなっていますが、版権は一般社団法人色材協会に帰属します。

剛体振子による塗料と塗膜の物性測定方法の標準化
井上温雄:基準認証研究開発事業「剛体振子による塗料と塗膜の物性測定方法の標準化」
(版権は一般財団法人日本塗料検査協会に帰属します)

無機-有機ハイブリッド塗膜モデルの構造と物性 NEW
坪田実、福井寛:「無機-有機ハイブリッド塗膜モデルの構造と物性」
塗装工学 Vol. 55 No.1 p4~17 (2020)(要旨のみ、版権は日本塗料技術協会に帰属します)

接着剤

接着剤の評価事例 NEW
2液性エポキシ接着剤の評価事例
硬化温度と硬化時間について

CFRP板とSUS板の接着の評価例
購入後時間の経過した接着剤はどうか?、エポキシ系/アクリル系違い、表面処理(コロナ処理、研磨)の影響

高分子フィルム関連

高分子傾斜構造材料
秋山三郎/加納義久:高分子フィルムに発現する傾斜ドメイン構造と新しい粘着フィルムへの応用
高分子49巻1月号(2000年)連載・高分子科学最近の進歩

高分子表面の結晶化度を求める
高分子表面の結晶化度を求める(特開2007-292636A)

高分子フィルムの測定例
高分子フィルムの測定例

ライフ サイエンス関連

洗剤液による繊維の摩擦物性評価 NEW
「NANOX one」に備わるコンプリート洗浄(洗浄・消臭力、色変化防止力)技術の開発
ライオン株式会社 研究開発 開発研究 住まいと衣類のケア より

化粧品の物性評価法
化粧品の物性評価法
Cosmetic Stage 2012年10月号『化粧品の物性評価法』より

髪の毛のダメージ物性 NEW
髪の毛のダメージ物性

洗顔剤における保湿成分吸着テクノロジーをRPT-3000Wで評価計測 NEW
測定事例:洗顔剤における保湿成分吸着テクノロジーをRPT-3000Wで評価計測

その他

PSナノ薄膜測定のご紹介
RPT-3000Wを使ってどこまで薄い素材の測定、評価が可能か検討しておりました。この度、九州大学大学院工学研究院応用化学部門の田中研究室のご厚意によりシリコンウエハー上に作成されたPS薄膜サンプルをご提供いただき計測をいたしました。
RPT-3000WでのPSナノ薄膜測定のご紹介

コンクリート用養生剤の仕上げ補助効果の評価 NEW
剛体振子物性試験器を使用しセメントペーストの粘弾性挙動変化を相対複素弾性率を使って評価した研究報告です。
コンクリート用養生剤の仕上げ補助効果の評価
※本論文はオープンアクセスですが、版権は東京大学生産技術研究所に帰属します。

銅線被膜の測定例
銅線被膜の測定例

剛体振り子型物性試験機って何ですか?
剛体振り子型物性試験機って何ですか?
月刊 『塗装技術』 (2016年8月号) 技術レポート

測定データの読み方
測定データの読み方(硬化)
測定データの読み方(物性)

仕様

振幅変位検出
非接触式渦電流変位センサ
最大振幅角
±0.573 degree
角度分解能
1.749e-5 degree
振動周期
0.050~2.000秒
対数減衰率
0.001~6.000秒
測定温度範囲
-80~+400℃
冷却方式
液体窒素
オプション
UV照射装置 他
外形寸法 / 質量
本体:300(W)×220(D)×525(H)mm / 約15kg
制御部:410(W)×350(D)×135(H)mm / 約12kg
安全装置
過昇温防止装置 警告ランプ(50℃以上でON)
電源
AC100V 550VA
ソフト
OS:Windows10 Pro(32、64bits)
基本アプリケーション:MSAT0001V2
アプリケーション:MSAT0010V2

ユーザーインタビュー ( 情報マガジン『WAY』)

群馬大学理工学部 井上研究室様

電子デバイスの高性能化や多様化にともない、導電性接着剤に対する要求性能がますます高まっています。

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